この間の土曜日に岩崎夏海作の【小説の読み方の教科書(潮出版社)】という本を図書館で借りてきた。
岩崎夏海は【もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら】の著者である。
著者が【小説の読み方の教科書】を書いた動機は二つある。
二つとも【もしドラ】が大ベストセラーになった時のエピソードに端を発している。
一つは、書評で「【もしドラ】は《マネジメント》を学ぶための本ではなく《マネジメントの読み方を学ぶ本》である」という一説を見つけたことで、もう一つは著者に届く【もしドラ】への批評の多くが見当違いのものが多かったということである。
そして著者は自分の強みが正しい本の読み方にあると気づき、皆に正しく本を読めるようになってほしいとの願いを込めて、この本を書いたのだという。
本書は著者の読書遍歴から始まる。
小学生時代に【ドリトル先生】と出会い、現実から空想の世界へと入り込み、想像をたくましくする訓練を積んだ。
中高生時代は筒井康隆に夢中になり、小説の面白さの多様性と小説でしか味わえない種類の楽しさがあることを学んだ。
大学時代に【百年の孤独】に衝撃を受けて、【百年の孤独】のような本を書くことが人生の目標になったとのことである。
その後、【百年の孤独】に強い影響を与えた【ドン・キホーテ】にたどり着く。
著者は全ての近代小説の原点に【ドン・キホーテ】があり、夏目漱石などもその影響を受けたと言う。
そして【ドン・キホーテ】から派生した小説の一つで、本の読み方を学ぶのに最もよい教科書として、マーク・トウェインの【ハック】をあげる。
【ハック】を引用しながら読書の作法を次のようにとく。
①結末を探るような読み方をしない。その為にも最低二回はその本を読む。
二回目以降では結末に気を取られることなく、言葉で書くことのできない、五感で感じるしかない何かを行間から読み取るような読み方をすること。
②醜さたっぷりのトム、ハック、ジムを描き切ることで清濁込みの人を愛することができるようになることを学ぶ
③本に込められたモチーフを浮かび上がらせながら行間を読むための再読の進めなどである。
【ドリトル先生】~【筒井康隆】までは似たような遍歴だったが、それ以降で清濁込みで登場人物を丸ごと愛するような読み方は出来ていなかった。
勉強になった。
意識しながら、今後の読書に活用しよう。
今日の写真は家に飾ってあった花。
新規にオープンしたバームクーヘン屋さんでバームクーヘンと一緒に貰ってきたそうだ。
あまり見たことのない花と思って調べたら、やはり外国種のようで和名は出てこなかった。