後輩キャラからの脱皮

高校生になってから20cmも背がのびた。

それでも168cmなので中学生ではとても小さい晩熟のタイプだった。

愛嬌も比較的あるほうであり、複雑な家庭環境で育った陰のあるタイプのクラスメートから、何も考えずに幸せそうでむかつくなどといって敵視されたこともあった。

身長150cmに満たない男子中学生など女の子にもてないし悩みは多くあったのだがそれが表に出てこないらしい。

マスコットというにはかわいげが足りないので、一言で表すと後輩キャラだったと言える。

身長が伸びて柔道のおかげで身体が人並み以上に出来てきてからも、三つ子の魂百までじゃないが後輩キャラ一直線だった。

社会に出た後も自分の未熟を補うのに精一杯で後輩に対して面倒見のよい先輩だったとは言えないと思う。

組織には新陳代謝があり、卒業や定年、入学や入社で毎年すこしずる組織の中で年をとり、高配も増えるのだが、沢山の後輩と一緒に仲良く酒を飲んだりしながら、少し先をいく先輩をロールモデルとしてともに研鑽している感じだった。

突然、状況が変わったのは中国に赴任したタイミングだろう。

現地責任者として赴任して毎日いろんなことが起こった。

問題がおきても現地スタッフは、『何をしたらいいか指示をくれ』といった感じでこちらを見つめる。

最初はおっかなびっくりでも腹をくくってどんどん決断していった。

あの時代に一皮二皮向けて後輩キャラを卒業したように思う。

現在は56歳で、どこにいっても先輩扱いされてしまう年齢だ。

前職のOB会に行くと、早期退職した私はバリバリの若手なのですっかり手下扱いである。

もともと後輩キャラの私には嬉しい場だ。

コロナの影響で二回ほど中止になっていたが、今年は三年ぶりに開催するという案内があった。

楽しみにしている。