はじまりはコロナ~その9(自己超越)~

 コロナ下の自粛生活で、自分は何に幸福を感じるのか問いかけてきた。

答えを探す為の最初のアクションとして、過去の記憶を遡って自分の好きをあげることにして、ここまでに自然、家族について思い起こした。

その中で、自分の好きには、人を幸せにする利他的行為も含まれるなと気づいた。

 欲求5段階説で有名なマズローが、晩年に6段階目(自己超越)があると昇華した奴だ。
5段階(生理的欲求~自己実現の欲求)までは、自分自身の可能性を最大化する、自分の利益に関する欲求だが、6段階目(自己超越)は、世の中をよくする・他者を救うといった利他的な方向に目的が向かう。

 思い出すと幸福を感じるエピソードを一つ記す。

 2010年、中国に食品メーカーの副総経理として駐在していた。
自社の商品を【中国の人民食にしよう】と張り切っていた頃だ。
管掌範囲には品質管理部門も入っていて、部下の一人に優秀な女性の品質課長がいた。

 ある日、彼女が退職を申し出てきたので、理由を聞くと妊娠したという。
私たちの会社に転職してくる前に2度ほど流産したことがあり、大事を取りたいのだという。

 当時の中国は、まだ一人っ子政策の旗を降ろしておらず、産休日数も日本に比較して短かった。産前休暇の配分が少ないのが特徴で、15日間くらいだったように記憶している。
 社内規定は中国法に準じた形だったが、申請すれば日本並みに産前6週間を休めるように、規定を変えた。

 優秀な人材であり会社の損失という、自利的な動機もあったが、利他的な感情も色濃くあった。
彼女は退職を思いとどまり、無事に出産した。現在は、中国ホールディングスの品質保証責任者についている。着任した頃に、御礼のメールをくれた。

 自分の行動によって、人生が好転したに違いない人がいるという記憶は、思い出す度に私を幸福にしてくれる。幸福スイッチの入る思い出をくれた彼女には、感謝している。

これからの人生も、人を幸福にするという経験を一つでも多く積み上げたい。

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