華甲の友へ贈る一冊

大学時代の友人からの誘いで、8月に大阪で会うことになった。

早逝した友人のお墓参りと、学生時代の後輩がやっている居酒屋にいくことが目的である。

前回は、私が60歳になる直前で、そのときに「闘魂」の文字の入った赤いタオルをもらった。彼も今年60歳を迎える年なので、お返しのプレゼントを贈ろうと思う。

大学時代は硬式野球部に入っていて、4番一塁だったように記憶している。

外見に似合わない文学青年で、俳句誌に投稿していた時代もあったし、前にあった時は漢検1級に受かったと言っていた。

私が中国に駐在するときには、「プリズンホテル」をもらった。それっきり、浅田次郎にはまってめぼしい本はかなり読んだ。

「還暦」、「漢検1級」、「本好き」、彼らしいキーワードをならべながら、贈り物を考える。

「赤系」の品に「還暦」を「華甲」と読み替えた文字を刻めないだろうか。

考えた末に、ワインレッドのブックカバーに、「華甲」と「友人の名前」を刻み、おすすめの本を挟んで贈ることにする。

おすすめの本は、60歳からの生き方のアドバイスをくれそうな養老孟司の本、幸福度をあげてくれる感謝日記の本、文学賞の中でも好きな作品の多い「本屋大賞」から選ぶか、もう少し悩んでみよう。

昔は、相手に欲しいものを聞いてプレゼントを選んでいた。

子どもへのプレゼントは、誕生日はもちろんのこと、サンタクロースを信じていた年頃のクリスマスプレゼントであっても、事前に欲しいものをヒアリングしていた。

親や妻でも欲しいものを聞いて贈っていた。「どんなものが喜ばれるか?」あれこれ頭を悩ませて、人に物を贈るのは、結婚前、片思いをしていた頃の30年以上ぶりかもしれない。

物を贈る側も、贈り物を考える時点で、既に幸福な時間をもらっている。

長い時間をかけて、私の中で贈り物の意味が変わってきた。

こんな感情の循環が幸福への近道なのかもしれない。

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